第258回 GREAT3  「彼岸」

「GREAT3」というバンドをご存知でしょうか。ボーカルギター、ベース、ドラムという3人編成のロックバンドです。
1995年デビュー、アルバムを何枚も出していた玄人受けする人気バンドでしたが、2003年のライブを最後に活動を休止していました。
そんな彼らが9年ぶりに復活!とのニュースは、なんと1日百万PVを超えるYahoo!のヘッドラインにも載りました。

これにはさすがに驚きましたが、そんなGREAT3のVo 片寄明人君は高校時代からの友人なのです。
仲良くなった私達は、互いの家に泊まりに行ったり、ライブハウスに行ったり、そうそう、恥ずかしい若気の至りも互いにしました(笑)
しかし若かりし日、彼の家に行った私は、その棚を埋め尽くすレコードの数に驚きました。
そして彼は照れ臭そうに作りためたという古びたノートの詩を見せてくれました。
「!」 
私は確信しました。「こういう人がプロになるのだ」と。
その「予言」通り、彼はその才能を爆発させ、お世辞抜きに「スター」になりました。

そんな彼らの活動の休止は寂しいなと思っていただけに、今回の活動再開は本当に嬉しく思いましたが、活動再開にあたり、11月21日にアルバム「GREAT3」の先行シングルでリリースされた曲の名は「彼岸」。
「彼岸?」
そのタイトルに私は少し不思議な感じがしました。
「ロックバンドの再開を飾る曲が『彼岸』?」

不思議に思いながら聞いた私の脳裏には、昨年の東日本大震災で、あっという間にその命を落とさなくてはならなかった、多くの別れのシーンが浮かんできました。
「死」をテーマにした、何ともいえない切なく、しかし力強い彼の思いのこもった詩のエネルギー。
彼は、この曲をここ7年くらいの間に立て続けに起きた親しい人達との死別をテーマに書いたそうです。

 片寄明人 「彼岸」についての想い
 http://great3official.tumblr.com/post/34143721828/great3-9

当日、いよいよ復活ライブが開始。見る私がなぜか緊張していました。
ライブの中ごろ、いよいよこの「彼岸」が紹介され、客である私から見ても伝わる緊張の中、彼は涙を浮かべながらも力強くこの「彼岸」を歌いあげました。

高校生だった私達がこの年になり、そして昨年の震災以降、私達の「生」が何の保証もされないものだと実感したいま、この曲をあえて先行シングルで出すという彼のミュージシャンとしての誠実さを、私は尊敬しています。

今まで彼らを知らなかった方にも、この機会に彼らをもっと知ってもらいたい、そしてこれからも生のある限り、その才能をさらに昇華させ、私達を元気づけてくれることを願っています。
明人君、ありがとう、そしておめでとう。これからもよろしく。

彼が渾身の力を込めた名曲「彼岸」、ぜひ聞いてみてください。

2件のフィードバック

  1. 僭越ながら・・・共感してしまい
    鳥肌が立ちました。
    GREAT3の復活を心から喜びますw

    1. 河野さん コメントありがとうございます!
      彼との付き合いは本当に長いのですが、ところどころでその生みの苦しみ、音楽に対する誠実な姿勢を見ていたので、今回のライブを見て本当に嬉しかったです。
      そして、再開したそのサウンドの力強さにも驚きました。
      日本に本当の意味でのクオリティの高い音楽を伝え、残すというミッションを、これからも心から応援したいと思っています。
      と書きながら、こんなこと、言える年になったんですね~と不思議な気分でもあります(笑)

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